

日本のたいがいの村は、いかにも田舎っぽい「村」を嫌い、他の市町村と合併してでも、「町」や「市」への昇格を望んでいると思いがちだ。だが、全国の村のなかには、「町」への昇格の話が持ち上がりながら、これを断った珍しい村がある。沖縄の豊見城村だ。豊見城村は、かつてはサトウキビと野菜を産する純農村だったが、那覇市に隣接しているため、ベッドタウンとして人口が急増した。それで。一九九〇年をめどに、村からいきなり市に昇格することをめざそうとしたのだが、人口の伸びがゆるやかになったため、市になるのは難しそうだと、方向転換し、一九八三(昭和五十八)年をめどにとりあえず町になろうという案が出た。ところが、村民に町制移行に関するアンケートをしたところ、町になることに反対する村民が過半数の五七・三四パーセント。それで、町に昇格することをやめたのである。それでも、豊見城村の人口は、一九九七年三月末の時点でなんと四万七七八六人。日本一人口の多い村である。一方、豊見城村より人口の少ない市は、全国に二〇四もあり、日本の市全体の四分の一以上にも及ぶ。同じ沖縄県内でも、人口二〇〇〇人以下の与那国が町であったりするのだから、これだけ多くなれば、今度は、町を飛び越して市に昇格するのも夢ではない。村から町への昇格は、名前が変わるだけで、それほどのメリットはないのだが、市になれば、福祉事務所が設置されるし、地方交付税も増額される。それで、豊見城村では、二〇〇〇年に市に昇格することをめざして、準備を進めているという。そんな豊見城村に沖縄旅行のとき、訪れてみてはどうだろうか。
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温泉の増加にともなって、都市近郊を中心にクアハウスやスーパー銭湯、健康ランドなどの数も増えている。こちらも「天然温泉」をウリにしているところが多く、加えて大小各種の娯楽設備を備えているのが特徴である。さらに最近、この温泉ブームは、マンション建設の分野にまで及んでいる。私は、次のようなマンション建設のニュースを読んで、日本人の温泉好きもここまできたかと、思わず唸ってしまった。その記事は、「多摩ニュータウンに、初の「天然温泉付き分譲マンション」が建つことになった」という見出しで、「二〇〇二年七月から温泉掘削を開始し、地下一千百メートルで泉温三十七・九度、毎分百五十五リットル噴出する温泉を掘り当てた。七彩はナトリウム・炭酸水素塩・塩化物温泉で、神経痛や筋肉痛、関節痛、慢性消化器疾患、冷え性などに効能があるという。計画では、マンション二百二十戸全室に温泉を供給し、ゲストハウスにも温泉を引き込んで、露天風呂を設ける」(読売新聞二〇〇二年十月一九日付多摩版)と伝えていた。山間部や海辺だけでなく、近郊に温泉施設が続々とオープンし、さらには都心に近いニュータウンにも温泉付きマンションができるなど、まさに日本全国至るところで、「天然温泉」が湧き出ていることになるわけだ。私自身、温泉療法医として、各地に温泉が増えて、多くの人がより身近に温泉を利用できる環境になってきたこと自体は、喜ばしいことだと思っている。温泉入浴には、日ごろのストレスを取り除くだけでなく、慢性疾患の改善やリハビリテーション、さらには予防医学的な見地からも、大きな効果があるからだ。特に夕日ヶ浦温泉は最近人気沸騰中の温泉地である。
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